さて、前回の続き。
<事例1>について、考えてみましょう。
<事例1>
CL1「家族に心配をかけたくないから早く就職決めたいんです。」
CC1「ご家族に心配をかけたくなくて早く就職を決めたい、と…」
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CL2「ええ。これ以上心配かけるわけにいかないので早く決めないと…」
CC2「では早く決めるれるように、一緒に考えてみましょうか。」
「家族に心配かけない」=「早く就職を決める」と考えているCL。
イラショナルビリーフがありそうですね。
CC1でイラショナルビリーフをそのまま繰り返したことで、CL2ではその考えを自身で肯定する応答をします。
「早く就職を決める」と「家族は心配しない」のでしょうか?
もしそのイラショナルビリーフをCCが気づけば、こんな質問をするかもしれません。
しかしCC2ではイラショナルビリーフをむしろ強化する関りをしてしまっています。CCも相談者と同じ視点で、「早く就職を決めることが問題解決の方法」と考えたのでしょう。
もちろんCC側にも主観、思い込みがあって当然です。
ただしキャリアコンサルティングでは、CLの主観、思い込みがある部分を明確にし、一緒に確認したり、本人の中で気づきを得ていただけるように支援することが重要です。
CCの主観、思い込みをCLに押し付けてしまうことを回避するためにも、繰り返し技法自体はとても有効ですが、使い方にはやはり注意が必要です。
相談者が選んで発した言葉には、「意味」があります。
「感情」「考え」などは特に、「相談者が選ぶ言葉」として気に掛ける必要があります。
今回は、「心配をかけたくない」に、CLの考えが詰まっていますね。「早く就職を決める」はその手段としてCLが取ろうとしている行動です。
「心配をかけたくない」と、CLが発した言葉の「意味」とは。
相談者と家族の関係性。
これまでにいったいどんなことがあったのでしょうか。
そこには、どんなに経験豊かなCCが、どれだけ想像力を広げてみてもたどり着くことができない、CLにしか分からない「CLの人生」が詰まっています。
次回<事例2・3>に続く